ナレーション : Al イオンの確認反応 −アルミノンレーキ−
- アルミニウムイオンは,有機色素であるアルミノンが水酸化アルミニウムに吸着してできる赤色レーキの生成で確認します.
- しかし,アルミノン試薬自体が赤色に着色しているためその変化は微妙で,注意深く観察しなければなりません.
- アルミノンレーキは酢酸アンモニウム緩衝液中で生成するので,試料にこれを加えます.
- 続いて,アルミノン試薬を加えます.
- このとき,反応液が酸性に大きく傾いているとオレンジ色の沈殿が生じることがありますが,これは酸性でアルミノン試薬自体が沈殿したもので,アルミノンレーキではありません.
- 次に,反応液の変化を観察しながら,アンモニア水溶液を慎重に 1 滴ずつ加え,よくかき混ぜます.
- このとき,アンモニア水溶液を次々と加えてはいけません.
- アンモニア水溶液が適量に達すると,反応液の赤色が強くなり,続いてゲル状の沈殿が生じます.
- これがアルミノンレーキです.色の変化だけではなく,反応液が不均一となることがポイントです.
- このとき,反応液の pH は 5 から 7 付近にあります.
- 反応液を静置して,アルミノンレーキの赤色沈殿と無色透明の上澄み液に分離すれば,これがアルミニウムの確認となります.
- 沈殿がなかなか分離しないときは,反応液を遠心沈降して観察してみましょう.
- アルミニウムイオンに比べアルミノン試薬が多すぎると,上澄み液が着色してしまいます.
- アルミノンレーキが生じているのに,それに気づかないで,アンモニア水溶液をさらに加えてしまう失敗がよくあります.
- すると,反応液の pH が適正値から大きくはずれて,溶液がアルカリ性になってしまいます.
- その結果,レーキが退色して,アルミニウムイオンの存在を見逃してしまいます.
- アルミニウムイオンと同じ第 3 属の 3 価の鉄イオンが混入していると,アルミノンレーキは赤色ではなく紫色を呈します.
- 未知資料の分析では,この違いに十分注意しましょう.