ナレーション : 分液漏斗の使用法 -有機化合物の抽出方法-
- 分液漏斗は,水に溶けている,あるいは混ざり合っている有機物を有機溶媒で抽出するときに使用します.
- また,有機溶媒に溶けている酸や塩基を塩として水相に取り除くときにも使用します.
- ここに示すアミンをエチルエーテルで抽出する実験を例にして,その使用法を説明します.
- 分液漏斗の下に三角フラスコ等の受け器を置きます.
- コックが閉じていることを確認します.
- それから,試料溶液を分液漏斗に入れます.
- 続いて,エチルエーテルを入れます.
- さらに,容器に少量のエチルエーテルを加えて,これを洗いこみます.
- このとき液量が多すぎると,有機相と水相をしっかり混ぜ合わせることができません.
- すり合わせを密着させるため,あらかじめ栓を水で濡らします.
- まず栓をして圧力抜きの孔を閉じます.
- 次に,手のひらで栓を押さえて逆さにします.
- すぐにコックを開いて,内部の圧力を解放します.
- 分液漏斗を振るときは,はじめは内部の圧力が上がりやすいので,軽く振ってすぐにコックを開けます.
- だんだん強く振るようにして,最後はしっかりと振って,有機相と水相をよく混ぜ合わします.
- この間,ときどきコックを開けて内部の圧力を抜くことを忘れないようにしましょう.
- 分液漏斗を漏斗台に置いて,栓を外します.
- 少し待つと,上部のエチルエーテル層と下部の水相に分離します.
- このとき,クロロホルム等の比重の大きな溶媒を用いると,有機相が下になるので注意が必要です.
- コックを開いて水相を下の受け器に流し入れます.
- 水相が減ってきたら,ゆっくりと慎重に操作し,界面がコックの直前に来たらコックを閉じます.
- 残った有機相は上の口から別の容器に移します.
- 分離した水相を分液漏斗に戻します.
- 続いて,溶媒を加えて抽出操作を繰り返します.
- 有機溶媒に溶けやすい物質なら,抽出操作を 2,3 回繰り返せば十分です.
- 抽出液中の水を除くため,抽出液を飽和食塩水と振り混ぜて,再び分離する洗浄操作を行うことがあります.
- 最後に,抽出液に適量の乾燥剤を加えて,溶け込んだ水を結晶水として取り除きます.
- 有機溶媒に溶けている酸を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液に溶かしだす操作では,内圧の上昇に特に注意が必要です.
- 発生する二酸化炭素を十分逃がしてから,分液漏斗を振らないと危険です.
- 分液漏斗を使う上での失敗例です.
- コックが開いているのに気づかす液を入れると,当然,下からこぼれてしまいます.コックの開閉をを確認するだけではなく,分液漏斗の下には常に受け器を置きましょう.
- 圧力抜きの孔が合っているのに気がつかず,逆さにすると,そこから液が漏れてしまいます.逆さにする前には,必ず孔が閉じていることを確認しましょう.
- コックを開けるとき先端部から溶液が吹き飛ぶことがあるので,これを自分や周りの人に向けては絶対にいけません.
- 下のコックがガラス製の分液漏斗もあります.この場合,すり合わせ部分がスムーズに動くように,コックを水で濡らしてから使用します.
- 使用後,コックをしたまま放置すると,コックが固まり動かなくなってしまします.使用後はすぐにコックを外し,洗浄してから保管しましょう.