ナレーション : キレート滴定 −Mg イオンの定量−
- キレート滴定では,金属イオンとキレート化合物を作って,色が変化する指示薬を用います.
- その反応液に,指示薬よりずっとキレート化合物を作りやすい EDTA 水溶液を滴下して色の変化を観察します.
- まず,キレート化合物を十分生成させるために,マグネシウムイオンを含む試験水に pH 10の緩衝液を定められた量加えます.
- 次に BT 指示薬を,反応液が薄く赤色に着色するまで,1 滴ずつ加えます.
- この着色はマグネシウム-指示薬錯体によるものです.
- ビュレットから EDTA 水溶液を滴下します.
- 終点付近になると,EDTA はマグネシウムイオン-指示薬錯体からマグネシウムイオンを奪い取ります.
- すると,反応液は赤色から中間色の紫色を経て,青色に徐々に変化します.
- 終点に近い紫色になったら,1 滴滴下するたびに色を確かめ,目盛りを読んで記録します.
- 最後の 1 滴で,反応液が完全に青色に変化したところが終点です.
- ここで,試験水に含まれているマグネシウムイオンと加えた EDTA の物質量が等しくなります.
- 終点を越えてさらに滴下を続けても,溶液の色は変化しないので,終点付近での色の変化には十分注意しましょう.
- 加える指示薬の量は,少なすぎても多すぎても,色の変化が分かりにくいので,適切な量を加えることが重要です.
- 滴定前では,指示薬の量が少ないものが,一見したところ適切に見えますが,終点近傍では,ほぼ無色になってしまい,色の変化が観察できません.
- このような場合,指示薬を追加してもかまいません.
- 濃すぎる場合は,色の変化が見極めにくいので,このような場合には,はじめからやり直す必要があります.
- 固体指示薬は溶けにくいので,特に入れ過ぎには注意しましょう.
- 水道水中のマグネシウムイオンとカルシウムイオンそれぞれの濃度は,反応液の pH を適切に設定し,指示薬を選ぶことで定量できます.