ナレーション
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11. カラムクロマトグラフィー
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概要・一般的注意
カラムクロマトグラフィーは,蒸留や再結晶では分離できない混合物から目的の化合物を単離する手法である.
固定相にはシリカゲルやアルミナなどを用いる.これらは分離しようとする化合物の性質によって使い分ける.
動画は,最も一般的な,固定相にシリカゲルを用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより,2 種類の有機化合物を分離する操作について説明している.
シリカゲルへの吸着の度合いは物質により異なるので,この違いを利用して混合物を分離する.以下,一般的なシリカゲルカラムクロマトグラフィーを行う際の注意事項を説明する.これらは分離しようとする物質の量や性質により大きく異なる場合があるので,十分留意すること.
展開溶媒(移動相)には,ヘキサンや酢酸エチルなどの有機溶媒を用いる.単一成分ではよい分離が得られないことが多いので,これらを種々の割合で混合して用いる.溶媒や割合の決定には薄層クロマトグラフィー(TLC)(動画資料:
薄層クロマトグラフィー
を参照)の結果を参考にする.一般的には,目的物の R
f
値が0.3程度になる展開溶媒を用いると良い分離が得られる.
使用するクロマト管の大きさやシリカゲルの量は分離しようとする物質の量と成分の数に依存する.
粒子の細かいシリカゲルを用いると分離はよくなる.しかし,自然落下(重力)ではなかなか流出しないので,空気圧で流出速度を上げる.この手法をフラッシュカラムクロマトグラフィーという.
カラムクロマトグラフィーは溶媒を大量に使用するので,きれいな溶媒はできるだけ再利用する.
シリカゲルの粉じんや有機溶媒の蒸気を吸い込まないように,ドラフト内または換気設備の整った場所で行う.シリカゲルに展開溶媒を加えるときは特に注意する(動画資料:
ドラフトの使用法
を参照).
シリカゲルをスラリー状にするときは,気泡がなくなるまでよくかき混ぜる.溶媒によっては発熱する.
クロマト管にスラリーを入れた後は,展開溶媒を流しすぎてカラムが涸れないように注意する.
試料混合物を適量の溶媒に溶解させる.多すぎるとバンドが広がり,少なすぎると粘度が大きくなって歪に流れるため,ともに良好な結果が得られない.
試料注入のときの洗液を残しておくと,後で分離の状況を確認するのに役立つ.
フラクションはTLC等で目的物を含むか確認する.
使用後のシリカゲルは所定の方法により,適切に処理・廃棄する.
操作法
準備
クロマト管の先に脱脂綿を詰める.
その上に海砂を載せる.
下から約1/4の高さまで展開溶媒を注ぐ.
シリカゲルに展開溶媒を加えてスラリー状にする.
クロマト管にスラリーを注ぐ.
クロマト管のコックを開いて溶媒を流し,シリカゲルを沈降させる.シリカゲルが必要な高さの少し上になるまで5, 6の操作を繰り返す.
カラム上部に展開溶媒を少し残してコックを閉じる.
クロマト管を軽く叩くと,シリカゲルの上面が下がるので,溶媒を流し出す.この操作を繰り返し,シリカゲルを密に詰める.
シリカゲルの上面に海砂を静かに載せる.
試料注入・展開
海砂の上面が少し見えるまで展開溶媒を流す.
少量の溶媒に溶かした試料を静かに注入する.
コックを開けて溶媒を流す.
少量の展開溶媒を用いて試料が入っていた容器を洗い,この洗液もカラムに注入する.洗い込みは2回以上行う.
展開溶媒を静かに注ぎ,コックを開けて展開を開始する.
シリカゲルへ吸着される度合いの差により,混合物が分離し,バンドが形成される.
溶出液はフラクションとして試験管等に集める.
目的物を含むフラクションを集めて,溶媒を留去する(動画資料:
ロータリーエバポレーターの使用法
を参照)
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