ナレーション : カラムクロマトグラフィー
- カラムクロマトグラフィーは,蒸留や再結晶では分離できない混合物から目的の有機化合物を単離する有効な方法です.
- これから,シリカゲルクロマトグラフィーで 2 種類の有機化合物を実際に分離します.
- まず,クロマト管の先に脱脂綿を詰めます.
- 次に,海砂を載せます.これでシリカゲルの漏れを防ぐだけでなく,その底面を平らにすることができます.
- 下から約 1/4 の高さまで展開溶媒を注ぎ入れます.
- シリカゲルに展開溶媒を加えてスラリー状にします.スラリーの中の気泡がなくなるまで,よく撹拌します.このとき,溶媒によっては発熱します.
- クロマト管にスラリーを注ぎ入れます.
- コックを開いて溶媒を流し,シリカゲルを沈降させます.
- シリカゲルが必要な高さの少し上になるまで,スラリーを加えます.
- カラム上部に展開溶媒を少し残して,コックを閉じます.
- クロマト管を軽く叩きます.この操作によりシリカゲルが詰まり,その上面が下がります.
- 叩く操作と流し出す操作を繰り返し,シリカゲルをしっかり詰めます.
- このとき,溶媒を流がしすぎて,カラムが涸れないように注意しましょう.
- 回収した展開溶媒は再利用できます.
- シリカゲルの上に海砂を静かに載せて,カラム上面を保護します.
- これでカラムクロマトグラフィーの準備は完了です.
- これから試料を注入します.
- 海砂の上面が少し見えるまで,展開溶媒を流します.
- 少量の溶媒に溶かした試料溶液を静かに注ぎ入れます.
- 試料を載せたら,コックを開いて,この溶液をカラムに導きます.
- 少量の展開溶媒を加えて洗いこみ,カラムに導きます.
- この洗液を 1 滴残しておくと,後で分離の状態を確認するとき役立ちます.
- 洗いこみは 2 回以上行います.この操作によって,試料をすべて移し入れるだけではなく,試料をカラムの中に完全に導くことができます.
- カラムの上面が乱れないように展開溶媒を注ぎます.
- コックを開けて展開を開始します.
- このとき,シリカゲルに強く吸着される物質は遅く,弱くしか吸着されない物質は早く移動します.その結果,混合物が分離してバンドが形成されます.
- 溶出液はフラクションとして,試験管や三角フラスコに集めます.
- 目的物を含むフラクションを集めることにより,純粋な物質を得ることができます.
- 粒子の細かいシリカゲルを使用すると分離はよくなりますが,静止圧ではなかなか流出しません.
- 空気圧で流出速度を上げる手法をフラッシュクロマトグラフィーと呼びます.