5.ビュレットの操作法−水酸化ナトリウムによる塩酸の滴定−
概要・一般的注意
動画は容量分析実験:酸塩基滴定を例にとって,「ビュレット」の使用法を説明している.
ビュレットは,内径の均一なガラス管に目盛りを付けて,流れ出した液体の容量を測る器具である.
ビュレットは加熱乾燥できないので,水道水,蒸留水で洗ったものを使用直前に共洗いして使用する.
ビュレットの洗浄法は「測容器具の共洗い」を参照のこと.
ビュレットはかなりの高さがあるので,床に下ろして滴定液を入れるとよい.
滴定液は漏斗(ロート)を用いてビュレットに入れる.漏斗をビュレットに差したままにしておくと,漏斗に残った液体が知らないうちに落ち,誤った滴定値を与えてしまうので,漏斗は必ず外すこと.
滴定の最後はビュレットの先端から出る液の「1滴の数分の1」を撹拌棒で取って溶液に加える等,細心の注意を払って操作する.それでも最初の滴定では加え過ぎることが多いから,その滴定値は参考として,2回目以降の値を滴定値とする.
2回目以降の滴定では,1回目の滴下量よりも約1mL少ない量までは手際よく入れ,それ以降は慎重に滴下して,終点を求めると効率がよい.
操作法・使い方
滴定準備
コックが閉まっていることを確認し,ビュレットの上端に漏斗をセットして,滴定液を適当な高さまでゆっくりと注ぎ入れる.その後,漏斗を外す.
ビュレットのコックを開けて,少量の液を勢いよく出し,先端の空気溜まり(気泡)を追い出す.このとき,液面を0に合わせなくてもよい.
目の高さを液面に合わせて,液面の湾部の接線にあたる部分の目盛りを読む.そのとき,目視で最小目盛りの1/10まで値を読む.
酸塩基滴定操作
滴定する溶液に,フェノールフタレイン指示薬を2,3滴加える.
溶液を滴下するたびに,容器を揺すって溶液を均一にする.
終点に近付くと,滴下直後に着色がみられるようになるが,混ぜるとすぐに色が消える.徐々に着色が消える速度が遅くなっていく.
終点付近では,慎重にゆっくりと1滴ずつ滴下し,混ぜても色が消えず,溶液全体が薄く着色したところを終点とする.
ビュレットの目盛りを読む.これからはじめの値を引いた量が滴定値となる.
ビュレットは洗浄後,コックを開けた状態で逆さにしてビュレット台に固定し,乾燥させる.