4.ホールピペットと安全ピペッターの使用法
概要・一般的注意
ホールピペットの容量とは標線まで液体を満たし,それを完全に流し出したときの容量である.
口で吸って液体を取ることもあるが,容量分析実験ではゴム製の安全ピペッターを使用する.
体積変化を避けるため,ホールピペット等の容積を測る容器(測容器具)は加熱乾燥を通常行わない.水道水,次いで蒸留水で洗ったものを,使用直前にこれから使用する液体を洗液として共洗いする.
ホールピペットの洗浄法は「測容器具の共洗い」を参照のこと.
ホールピペットが折れてケガをすることがないように,差し込む部分に近いところを持って,安全ピペッターに軽く差し込む.
液を吸い上げている途中に,ピペットの先端が液面から出ると,勢いよく空気が吸い込まれ,ピペッター内に液が吸い込まれることがあるので注意する.
液面と標線を合わせるときは,液面からピペットの先端を出した後に行う.液に浸った状態で合わせても,外に出すと液面が標線からずれる.
安全ピペッターの操作法・使い方
安全ピペッター下部にピペット上部を軽く差し込む.深く差し込み過ぎると中にあるボールを押し込んで,使用できなくなる.
Aを押しながらゴム球部分を凹ませ,中の空気を出す.
ピペットの先を液体に深く差し込み,Sを軽く押して液体をゆっくり吸い上げる.
Eを押して液体を流し出す.
三つのボタン(A,S,E)の働きを上の左右のアニメーションで確かめてみよう.
ホールピペットの操作法・使い方
ピペットを使用する液体の中に深く差し込み,標線の1〜2cm上まで吸い上げる.
ピペットの先端を液面から上げてから,中の液体をゆっくり流し出し,液体の湾部の接線を標線に一致させる.
ピペットの先端を容器の内壁に接触させ,残っている液滴を除く.
ピペットを垂直に保ったまま,使用容器に液体を流し出す.
ほとんどの液体が出た後,弁がすべて閉じた状態でピペットのホール部分を手のひらで包み,中の気体を膨張させて液体を完全に流し出す.あるいは,E部横の口を指でふさぎ,Eを押しながら横のふくらみをへこませて,残った液体を押し出す.