15.ペーパークロマトグラフィー
概要・一般的注意
動画は有機化学実験において実習する,メチルレッドとメチルオレンジの分析(展開液:イソブチルアルコール(1)+濃アンモニア水(1)+蒸留水(50))を例にとって,「ペーパークロマトグラフィー」を説明している.
ペーパークロマトグラフィーでは,ろ紙が固定相と支持体を兼ねる.展開液がろ紙に滲みこんで移動するとき,試料が展開液とともに移動する.その移動のしやすさの違いによって物質を分離する.
Rf値は固定相の種類,展開液,温度等の条件が一定ならば,一般的には再現性よく一定値を示す.そのため,この値およびスポットの形状や色から各成分の定性確認ができる.
ろ紙に試料を付けるときは,一度にたくさん付け過ぎてスポットが大きくならないように注意する.
ろ紙は汚さないようにふちを持ち,ノートの新紙面上などで取り扱う.
操作法・使い方
準備
中心に,半径約10mmの円を鉛筆で軽く描く.
円上に試料をのせるための×印を付け,原点とする.
上のイラストのように,ろ紙にハサミで切り目を入れて吸い口を作る.
試料溶液を毛細管に取り,原点の一つに軽く触れ,試料を少量付けて(スポットの大きさは3mm程度),電熱器で乾かす.この操作を2〜3度繰り返してスポットを濃くする.
異なる試料を扱うときは,毛細管を新しいものに替える.
展開
シャーレの縁を濡らさないように注意して展開液を注ぐ(シャーレの底面が一様に液で満たされる量).
ろ紙の吸い口部を折り曲げて,その先端が展開液に浸るようにろ紙を置く.
同径のシャーレでろ紙を挟むように蓋をして,静置する.
展開液の先端がシャーレのふちに達する手前で,展開を終了する.
Rf値の算出
ろ紙を取り出し,直ちに展開液の先端に鉛筆で印を付ける.
ろ紙を電熱器で乾かす.
スポットの形や色を記録する.
Rf値を算出する.
Rf=a/b
a=(原点から試料のスポットの重心までの距離)
b=(原点から展開液の先端までの距離)