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3. ヨードメトリー
−漂白剤中の NaClO の定量−
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概要・一般的注意
過マンガン酸イオン(紫色)からMn
2+
(無色)になるように,反応に伴って色が変化する酸化剤は滴定によって定量できる.しかし,そのような色の変化を起こさない酸化剤を直接定量することはできない.
一方,ヨウ素-デンプン反応が利用できるので,ヨウ素I
2
は容量分析によって感度よく定量できる.ある酸化剤でヨウ化物イオンI
-
をI
2
に酸化して,それを滴定することによって,もとの酸化剤を定量する手法をヨードメトリーと呼ぶ.
亜塩素酸ナトリウム(NaClO)のヨードメトリーによる定量は,次の2つの反応からなる.
酸化剤(NaClO)を過剰のI
-
で還元すると,酸化剤と当量のI
2
が遊離する.
ClO
-
+ 2I
-
+ 2H
+
→ I
2
+ Cl
-
+ H
2
O ・・・ (3.1)
I
2
をチオ硫酸ナトリウム (Na
2
S
2
O
3
)標準液で滴定する.
I
2
+ 2S
2
O
3
2-
→ 2I
-
+ S
4
O
6
2-
・・・ (3.2)
Na
2
S
2
O
3
とNaClOの当量関係
ClO
-
+ 2H
+
+ 2S
2
O
3
2-
→ S
4
O
6
2-
+ Cl
-
+ H
2
O ・・・ (3.3)
Na
2
S
2
O
3
(濃度×液量) = NaClO(濃度×液量)×2 ・・・ (3.4)
複数回行う滴定において,ヨウ素イオンの酸化反応の反応液の放置時間は,なるべく同じにする.
ヨードメトリーの反応は中和滴定のそれに比べて少し遅いため,終点付近では一滴ずつゆっくりと滴下して色の変化を確認する.
I
2
の濃度が高いときは,反応液が薄黄色になる終点付近でデンプン液を加える理由は,デンプン液を入れないでおくと,終点に近付いていることが分かるが,はじめから入れておくと,それがわからず,急に終点になるためである.
漂白剤中の次亜塩素酸ナトリウムの定量手順
デンプン液の調製
100 mL ビーカーにデンプン約0.5 gを取り,蒸留水約5 mLを加えてかき混ぜる.これを約40 mLの十分加熱した蒸留水に少しずつ加えて,均一溶液とする.
ヨウ素酸カリウム(KIO
3
)標準溶液の調製
精密天秤の使用法に従って,乾いた30 mL ビーカーにKIO
3
0.35〜0.40 gを測り取る.天秤の表示を0.1 mg単位まで読み取る.
容量フラスコによる標準溶液の調製手順に従って,1のKIO
3
に蒸留水を加えて100 mLに希釈する.
測り取った重量をもとに,KIO
3
標準溶液の濃度を計算する.
漂白剤中の次亜塩素酸ナトリウムの定量
軽く振り混ぜた液体漂白剤をホールピペットで10 mL取り,100 mLの容量フラスコを用いて蒸留水で10倍に希釈する.
100 mLビーカーにヨウ化カリウム(KI) 約1 gを測り取り,蒸留水約10 mLで完全に溶かす.
2に,1で希釈した漂白剤溶液10 mLをホールピペットで加える.
約1 mol/L HCl水溶液2 mLをメートルグラスで測り取って加え,よくかき混ぜて5 分以上放置する.
標定した約0.1 mol/L Na
2
S
2
O
3
水溶液で,反応液を滴定する.
滴定5回の平均から3.3式より含まれるNaClOの濃度を求める.
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