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16. 薄層クロマトグラフィー(TLC)

概要・一般的注意

操作法・使い方

準備

  1. スパチュラで試料をごく少量取り,少量の溶媒を加えて溶かす.
  2. 薄層板のシリカゲル塗布面を上にして置き,端から約 10 mm のところにエンピツで軽く出発線を引く.
  3. この線上に,試料を載せるための印を付け,原点とする.
  4. 試料溶液を毛細管に取り,原点の一つに軽く触れ,試料を少量付けて(スポットの大きさは 2 mm 程度) ,溶媒が乾くまで放置する.必要に応じて,ドライヤーで乾燥させる.この操作を数回繰り返して,小さく濃いスポットを作る.
  5. 異なる試料を取るときは,毛細管を新しいものに替える.

展開

  1. 展開槽に展開液を約 5 mm の高さまで入れる.
  2. 蓋をしてしばらく置いて内部を展開液の蒸気で飽和させる.
  3. 蓋を開け,ピンセットで薄層板の上端を持ち,下端が展開液にまっすぐに浸るように入れ,瓶の内壁に立てかけて蓋を閉める.
  4. 展開液の先端が薄層板の上端から約 10 mm まで達すれば,展開を終了する.

Rf値の算出

  1. ピンセットで薄層板を取り出し,直ちに展開液の先端部分に鉛筆で印を付ける.
  2. 薄層板を自然乾燥,またはドライヤーで乾燥させる.
  3. 紫外線ランプを点灯してスポットを確認し,輪郭を鉛筆で囲む.
  4. スポットの形や色を記録する.
  5. Rf値を算出する.
    Rf = a/b
    a =(原点から試料のスポットの重心までの距離)
    b =(原点から展開液の先端までの距離)

原理

薄層板(シリカゲルを薄く塗布したガラス板,アルミ板またはプラスチック板)の一端を展開液に浸すと,展開液がシリカゲルに浸透して上昇する.薄層板の 1 点(原点)に試料を付けて展開すると,試料はシリカゲルへの吸着と脱着を繰り返し,薄層板上を移動する.このとき,シリカゲルに吸着しにくい低極性の化合物は速く移動し,吸着しやすい高極性の化合物は遅く移動する.その結果,前者は高く(原点から遠く)移動する一方,後者はあまり移動しない.この差を利用して,混合物を分離する.物質の純度検定や反応の進行の確認に利用される.