3.容量フラスコによる標準溶液の調製
概要・一般的注意
動画は容量分析実験:ヨードメトリーにおけるヨウ素酸カリウム(KIO3)標準溶液の調製を例にとって,容量フラスコ(メスフラスコ)の使い方を説明している.
容量フラスコは,正確に定められた濃度の溶液を調製するときに用いる.
容量フラスコの容量とは標線まで液体を満たしたとき,その中にある液体の容量である.
固体試料から溶液を調製するときは,フラスコ内で溶解するのではなく,あらかじめ別の容器で溶解してから容量フラスコに移す.
試料と溶媒が混ざる際に体積変化が起こることがあるため,一度に標線の近くまで希釈すると体積が不正確になるおそれがある.
液面を標線に合わせた後,溶液全体を撹拌するときは左右に振るだけではよく混ざらない.転倒を繰り返してよく振り混ぜる.
容量フラスコもピペット,ビュレットと同じく加熱乾燥してはいけない.水溶液を作るときは水で希釈するので,はじめ水で濡れていても問題はない.蒸留水で洗って,乾燥させることなくそのまま用いる.
容量フラスコをブラシ等でこすって洗浄すると内側が傷つき,体積が変化するおそれがある.溶媒を入れて十分振り混ぜ,それを捨てる操作を繰り返して洗浄する.
容量フラスコ(メスフラスコ)の洗浄法は「測容器具の共洗い」を参照のこと.
固体試薬からの標準溶液の調製
正確に測り取った試料の入ったビーカーに,蒸留水を適量加える.
撹拌棒で撹拌して,試料を完全に溶かす.
撹拌棒に沿わせながら,あるいは漏斗を用いて,ビーカー内の液をすべてフラスコに移す.
ビーカーと撹拌棒に付着した試料をフラスコに移すために,洗浄瓶で少量の蒸留水を吹き付け,洗液をフラスコに移す.同じ操作を2,3回繰り返す.
フラスコを回すように軽く揺すり,溶液を均一にする.
少しずつ蒸留水を加えては撹拌する操作を繰り返し,標線の少し下まで蒸留水を加える.
液面を標線に合わせるときは,目の高さを標線に合わせて,スポイトで蒸留水を一滴ずつ加え,標線が液面の湾部に接するところに合わせる.
蓋を閉め,指でしっかりと押さえて,フラスコを上下逆さに10回ほど転倒させて,十分に振り混ぜる.